2016/10/01

「最新業態の変化と社会事情の変化を読む」

 

台風の大売出しのような晩夏から秋でしたね。被害を受けた方々に心よりお見舞い申し上げます。

今年の台風は東北や北海道にも上陸して、台風に馴れていない地域でしたので被害も大きかったようです。台風の影響で農作物の価格が高騰して(特に玉ねぎやじゃが芋は産地の九州と北海道が被害にあって)、大変な価格になってしまいました。カレー屋さんは本当に大変だと思います。
先日スーパーに買い物に行ったのですが(9月15日)、茗荷が1パック230円!通常の倍です。秋刀魚も高値安定で、これは台風の影響とは言えませんが。

リーマンショックを始まりとするか東北の震災以降なのか、都心部限定なのですが、飲食店の業態に大きな変化が起きていると見ています。一言で言うと総合居酒屋が厳しくなっている。総合居酒屋とはその店に行けば、肉や魚、刺身も何でもメニューにある店と考えてください。

30年近く前はチェーン系の総合居酒屋が呑むというシーンのメインでしたが、今は、「何でもあるは、何にも無い」という消費者の意識であると思います。また消費者の外食経験値はどんどん上がってきており、そこにリーマンショックや東北の震災の影響で、外食する機会が減っていく傾向の中で、店を選ぶ、食べる物。飲む物を選ぶ時代になってきています。ちょっとでも美味しいもの、ちょっとでも意味合いを持っている物を求めています。

ここで、消費者の外食動機変遷を示します。1950年代から1970年位まで消費者は「胃袋」が外食をしていました。戦後の復興の中でお腹を満たすということが外食の動機の主でした。1970年位から1984年までは「舌」が外食をしていました。高度経済成長からバブルに向かって美味しいものを消費者は求めました。

バブルが崩壊して現在は、「頭」が外食をしています。頭とは経験と置き換えて構いません。外食をすることで「食べるという行動だけでなく」、お店で体験することや、お店で知る情報に対してウオンツ(欲求)があるのだといえます。

つまり食事をしに行くではなく、○○県の△△さんの作った牡蠣を食べに行く、○○の杜氏のお酒を飲みに行く、あそこのお店は手づかみで食べて、お店のスタッフが踊るらしいよ、見に行こう!等の意味合いがないとお店が選択されません。まさに「何でもあるは、何にも無い」になるのです。

さらにもう一ついえば「築地直送」というキーワードも消えつつあります。消費者は築地が産地でないことは誰でも知っていることです。
いまや、モスバーガーさんでも使用している野菜の生産者名を掲げています。この数年で上場した飲食企業でダイヤモンドダイニングさん、鳥貴族さん、串カツ田中さん。どの会社も商品を絞り込んだ業態です。

次号でメニューとして売れる、評価される方法をお話ししたいと思います。

Text by

出 和樹

KHMコンサルティング 代表

一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会:専務理事
研修担当
フードビジネス・ハイジーンコントロールコンサルタント