2019/01/13

イスラムの影響の中にスペイン&ポルトガルにも通じるモロッコの食について。vol.2

Brasserie La Tour “Casablanca”


モロッコの首都、カサブランカでの夜は、トリップアドバイザーで評判の良かった多国籍料理レストランBrasserie La Tourに出かけました。 フレンチ、オリエンタル(タイ、ベトナムなど)モロッカンが店内のシーンの異なる席でもてなすようなレストランです。インテリアにも力を入れており、レストランアワードでも入賞している実力店。確かにインテリアもそれを意識した設えに成っています。色々な国の料理が食べられるという事で、カサブランカの食通にも愛されているお店との事でしたが、不通にモロッコ料理をチョイスしました。王道のモロッカンですが、全般的に見た目はモダンで味もスパイス押さえ気味。他の国の料理とのバランスを考えてのことなのでしょうね。ポーションも、この後頂くモロッコ料理と比べても若干減らされている感じでしたが、タジンはボリュームがあり美味。

通常、イスラム圏ではお酒は御法度。シーア派のイラクなどは外国人でも強制されますが、モロッコでは大都市の外国客が良く通う様なレストランに限り、お酒が出されています。ここではビールからスピリッツ、ワインまで大抵のお酒がメニューに並びますが、今回はメクネスワインをチョイス。すっきりとした飲み口で、モロッコの料理にもとても合います。モロッコではこの後もワインを楽しみましたが、マルシェで40DHくらい。お店でも60DH~から出されていて、手頃な価格(日本人には)で楽しめます。

このお店、店名そのものが旅を意識していますが、モダンで美味しい事を考慮してもそこそこの値段なのでこの値段払うなら、港近くのモロッカンにいったほうが旅人的には有り難いかもしれませんね。

Brasserie La Tour
Hotel Sofitel Tour Blanche | Rue Sidi Belyout, Casablanca, Morocco
+212 5224-56200

 

Chez Hakim “FES”


世界遺産の迷宮フェズ(Fes)の夕食は、トリップアドバイザーで評判の良かったレストラン Chez Hakimにしました。リヤド、ダル・エル・バリから徒歩5分程度。Fesの旧市街では、モロッコ料理以外のレストランを探す方が酷なのですが(笑)僕的には旅行中ずーっとモロッコ料理でも飽きない自信があるので、迷わずこの店へ。

欲張りすぎて頼んでしまった事もあり、食べきれず少し残してしまったのですが、 どれもこれも安定の美味しさ。モロッコは野菜も豊富で海産物も肉(豚や肉食動物以外)も豊富なので、自ずとレシピのバリエーションも豊富。今回の旅全体で言えますが、食で外す事は無かったです。美味しいものを食べると印象に残るし、良い思い出になりますからね。ちなみにこれだけ食べて180MAD(=2020円。2017年2月)。

レストラン Chez Hakim
n 12 El Batha, Rue de la Poste | Fes, Fes 30030
+212 5357-40816

 

Restaurant Beldi Bab Ssour “Chefchaouen”


ブルーシティの別名を持つ青い街シャウエン(Chefchaouen)ここでのちょっと遅めのランチは、日本語ぺらぺらのオーナーが居る不思議なレストランBeldi Bab Ssourで。レストランが少ないシャウエンのメディナで最も観光客を集めるレストランだと思います。伝統的なモロッコ料理の他、イタリア(パスタ)なども提供しています。

フランスの植民地支配の影響を受けたモロッコは、フランスの食文化(特に食事の量とか)の影響も受けていて、僕が常泊したモロッコのリヤド(小さな旅館の事)は大抵、簡単な朝食です。なので昼時には結構お腹が空いてしまいます。そういう意味でもここのボリューム感はちょうど良かったです。


全般的に素朴だけど、味のメリハリがあって美味しかったです。これにミントティー(無糖)を付けて一人70MAD。リーズナブルで美味しいし、トリップアドバイザーでシャウエン一位なのも納得出来ました。店員も皆気が効くしフレンドリー。この後行きたかったフォトスポットにも、食後に案内してくれました(笑)

Restaurant Beldi Bab Ssour
No 5 Rue El Kharrazin, Chefchaouen 91000

モロッコの食の多様性は、地政学的な要素がとても大きく、交通の要衝(地中海〜大西洋の入り口であり、アフリカからヨーロッパ最も短い海峡で渡れることなど)であるが故に、人々の往来から生まれた産物です。また北アフリカならではの地中海性気候の影響を受けつつ、アトラス山脈からもたらされる湿潤な環境は、良質な土壌と水をもたらします。ちなみによく食される肉は牛肉や鶏肉が多く、羊肉は国産のものが好まれるそうです。(ただし流通量が少ないので少し高価)。この肉をメインに様々な香辛料とメクネスのオリーブ、フェズの柑橘系を使ったタジン(モロッコの伝統的な鍋)はとても美味しく、店ごと家庭ごとの伝統のレシピがあります。僕はデザイナーなので、モロッコのイスラム様式(アラベスク)を駆使した建築や陶器を見て廻ったり、フェスの迷宮、シャウエンの景観を観光することが目的だったりするのですが、同時に食の体感はその国の文化をダイレクトに感じることができる貴重な経験になるわけです。

Text by

平澤 太

理事 / 株式会社デザインカフェ

平澤太:日本フードビジネスコンサルタント協会

環境デザイナー / デザインストラテジスト
変化するコミュニケーションの形態とアクティヴィティーの関係性に着目しながら、体感から得られる印象と効果=インタラクションを重視したデザインを展開している。アジアデザインアワード、DSAデザインアワード、SDA賞、CSデザイン賞、JCDデザインアワードなど受賞歴多数。