2017/03/06

「メニュー開発~健康へのアプローチ」

メニュー開発のご相談において、圧倒的に多いワードが「健康」「野菜」「もっと健康志向のお店に!もっと女性客を取り込みたい!そのためには野菜ですよね!!」まさしく近年において野菜ブームは長く続き、実際に野菜を主軸メニューにするお店は今やほとんどでしょう。しかし、本当にその健康と野菜!で継続的な集客はできるのでしょうか?

野菜中心の健康を訴求するお店にするなら、本当に必要なものとは何かを考えます。

今や、○○産・○○さんの育てた野菜・産地直送…なんて言う言葉は当たり前すぎて、むしろ謳えばうたうほど陳腐化する気すらします。実際に野菜を導入して当初の売り上げの伸びは見込めますが、継続した人気を保つには健康だけでは足りない何かがあるようです。「美味しいものは脂肪と糖でできている」CMでもお馴染みですが、また食べたい、いつも食べたいとリピートを狙うには別のアプローチが必要な時代に突入したように思えます。

マクロビオティック、ローフード、ビーガン グルテンフリー、スーパーフード…等々、様々な情報が飛び交う今。一人ひとりの食事の趣向に合わせる「選択の幅」があり、自分の「ライフスタイル」のニーズに合った食事ができる場所!と思われるのが今一番の人気の形の様です。そのため、野菜中心ながらも他のメニューであるお肉やお魚のお料理までをも、トータル的に美しく健康になれるイメージ作りが大切になります。

一例をあげると、オーガニックのサラダ・デリビュッフェで人気の店はまるで化粧品売り場にいるようです。きれいな試験管ガラスのような器には色とりどりの野菜が並び、ドレッシングはまるで口紅を選ぶかのようなグラデーション。肌質に合わせた化粧品を選ぶかのように、効果効能の違う野菜たちがきれいに並んでいます。そこには、もちろん肉魚もありますが、それさえもバランス栄養には不可欠のような提案型メニューです。

こちらのお店はメニュー単価も安くはありませんが常に長蛇の列で、客層はファッション重視の若い女性や、おしゃれな男子、本当に健康を欲するシニア世代も多く見られました。この世界観は、決してストイックな健康志向ではなく、美しさとキラキラ感満載の気持ちが上がる「健康エンターテインメント」なのです。本来、「野菜」という食材は土、水という粗野な趣ですが、今ではインスタグラムはじめSNSでは多彩な趣として彩っていることも然りです。飲食店においては、美味しい・安全・ヘルシーな野菜は当たり前の基本とし、その先へのアプローチが必要になってきています。私自身、メニュー開発の立場とて、むしろいったん食材の環境から離れ、ファッション・アート・音楽などの「遊び(エンターテインメント)」に身を置き感性を養いたいと感じる日々です。


Text by

坂口 もとこ

Motti & Benton Food Consulting株式会社 代表取締役

坂口もとこ

一般社団法人日本フードビジネスコンサルタント協会:理事
フードメニュー開発、フードコーディネート、協会広報担当
メニュープランナー、フードビジネスコンサルタント